東京都文京区の整体「心身バランス整体アルボル」の下田武志です。
栃木県の佐野市から通ってくれている、Tさんという70代の女性がいます。
腰痛と背中の痛みがあり、地元のカイロに通っていたそうですが、なかなか良くなる兆しは見られなかったようです。
段々とカイロに通う頻度が上がり、最終的には毎日通うようになり、行くたびに「ここが歪んでいますよ」「腰椎の〇番が飛び出ていいます」といった指摘をされ、「自分の身体は大変なことになっている」という不安ばかりが大きくなっていたようです。
治療院や病院で起こっている「目に見えない問題」
そのカイロの先生には悪意はないでしょうし、Tさんの話を聞いていても、きっと真面目な先生なんだな、という印象を受けました。
ただ、真面目過ぎるゆえに、筋肉や骨格といった目に見える物理的なものの状態ばかりに目が行ってしまい、Tさんの意識や思考、感情といった「目に見えないものが身体に及ぼす影響」にまでは、意識が及んでいなかったのでしょう。
いろんな治療院や病院などで、こういうことはよく起こっていますよね。
治してもらうために診てもらったのに、悪いところばかりを指摘されたり、物々しい病名を付けられたりして、不安や絶望感のほうが大きくなる。
それが、余計に症状の改善を妨げてしまうのです。
治療家が患者に何をどう伝えるべきかということは、患者さんの状況や性格によって変わってくるので、難しいところではあります。
でも、それは筋肉や骨格を見る以上に重要なことではないかと、僕は考えています。
痛みの改善を妨げていたのは「不安」だった
Tさんは、娘さんにアルボルを紹介され、わざわざ高速バスと電車を乗り継いで来院されました。
腰痛が辛くて、1時間近くバスに乗らなければいけないのも不安だったようですが、藁にもすがる気持ちで来られました。
身体を診ると、確かに骨格の歪みなど、指摘できるところはたくさんありましたが、それよりも、ご本人の不安や恐怖が身体の運動機能や治癒力を妨げているのは一目瞭然でした。
あえて歪みの指摘はせず、痛いところや歪んでいるところにもほとんど触れず、脳と体の繋がりを取り戻すための施術を行いました。
最初はどうしても痛みへの不安と恐怖が先行していましたが、何度か通ってもらううちに痛みが減り、身体が軽くなっていくのを実感され、希望を取り戻していかれました。
現在も、栃木県から高速バスと電車を乗り継いで、月に2回ほど通院されていますが、長時間のバスに乗る不安もほぼ無くなったようです。
大きく曲がっていた背中も、徐々にまっすぐに戻ってきて、見た目ではっきりわかるくらい姿勢も良くなってきています。
「意識の力」が「身体の力」を引き出す
僕がやっているのは、身体が自ら治ろうとする力を引き出すこと。
「歪みを治そう」ともしていません。
治癒力を妨げている要素を取り除けば、体が自然と「ベストな状態」になろうとし始めます。
身体の自己治癒力のすばらしさには驚かされます。
それを見るのが、整体師の仕事の醍醐味でもあります。
「最初はきつかった駅から当院までの5分ほどの坂道も、今は問題なく登れるようになった」と、ご自身の体力にも自信を取り戻し始めたようです。
「遠くから通う」ということも「障害」であるという捉え方もできますが、見方によっては、それがリハビリにもなり、「まだまだ元気」だという本人の自信の素にもなり得るのかもしれません。
とにかく、何歳になっても元気で、人生を楽しんでいただきたいと思います。
▼Tさんが気持ちと体の変化を聞かせてくれました。