
①ストレスに対する反応を変える
ストレスを軽減したり、コントロールするには、「ストレス」というものを分解して考えると、その正体や、対処法が見えてきます。
まず前提として、心理学や生物学では、「ストレス」を「ストレッサー」と「ストレス反応」に分けて考えます。
ストレッサーとは、生物にストレスを与える「刺激」のことで、物理的な刺激や、心理的なものも含まれます(暑さ、寒さ、痛み、生理的物質への反応、怒り、苦しみ、など)。
ストレス反応とは、ストレッサーからの刺激に対する身体の「反応」のことです。
イメージしやすいように例え話をします。
空気が入った風船を想像してください。

それを指で押すとへこみますが、空気圧で元に戻ろうとしますよね。
この時の指で押す圧力が「ストレッサー」で、元に戻ろうとする圧力が「ストレス反応」です。
指で押す力がほどほどであれば問題なく元に戻りますが、もし力が強すぎると、風船は割れて元に戻れなくなります。
僕たちが普段言っている「ストレス」というのは、過剰な刺激に身体がうまく反応しきれなくなっている状態のことを言っているのです。
もうちょっと具体的な(生理学的な)話をすると、、
体内でストレス反応を制御しているのは、コルチゾールやアドレナリンという副腎皮質ホルモンです。
それらのホルモンが血液中に分泌されると、心拍数や血圧が上昇し、血糖値が高まるため、体全体にエネルギーが供給されることで活動的になります。
なので、ストレッサーからの刺激が程よいものであれば、元気が出てくるということです。
(このようなプラスのストレスのことを『ユーストレス』と言います)
一方でこれらのストレスホルモンが増えると、胃腸の働きや免疫細胞の働きを低下を招きます。
つまり、ストレス反応というのは、消化機能や免疫力などを犠牲にして、一時的に体の活動力を高めようという反応だと言えるわけです。
過剰なストレスや長期的なストレスにさらされると、体の生命維持機能が不全を起こしはじめ、病気や痛みや精神的な疾患を引き起こします。
(ユーストレスに対して『ディストレス』といいます)
ストレスが引き起こす病気
このような負のストレス(ディストレス)が原因で起こる病気としては、うつ病や適応障害、パニック障害など精神新患が挙げられますが、内臓疾患、腰痛や肩こり、頭痛等の身体の痛みの原因にもなります。
ストレスが引き起こす症状に関しては、この記事の本題ではないので、このくらいに留めておきます。
こんな説明を聞かなくても、「ストレスが良くない」「ストレスを減らしたほうが良い」ということは誰でもわかっていることだと思います。
ただ、普通に社会人(たぶん子供も含めて)をしているだけで過剰なストレスにさらされてしまいやすい現代において、痛みや病気の原因になる負のストレス(ディストレス)を減らすためには、どうしたらいいのか?
それを説明するために、あえてストレスを分解して説明しました。
ここまでの話をまとめると
ここまでの説明をまとめると、
「ストレッサー」に対する「ストレス反応」によって「ホルモン分泌」が起こり、生体機能をコントロールする。
過剰なストレスは病気や痛みの原因になるが、ほどほどのストレスは元気の素になる
ということ。
コントロールできることに焦点を当てる
それで肝心なことは、病気や不健康を改善して、「健康でい続けるために何をしたらいいのか?」ですよね。
ポイントは、「自分がコントロールできることに焦点を当てる」ということです。
結論から言うと、「ストレッサー」「ストレス反応」「ホルモン分泌」の中で一番コントロールできる比率が高いのが「ストレス反応」です。
「ストレス」について考える時、多くの人の意識が行くのが「ストレッサー」の部分です。
「仕事が、、」「あの上司が、、」「旦那(妻)が、、」「子供が、、」「体重が、、」「家族や親戚の不幸」「パワハラ、モラハラ」etc..
これらの「ストレッサー」は、コントロールできる部分も無くはないですが、基本的には思い通りになりません。
「避ける」「関係を切る」という方法もあります。
それができるなら、それも一つの解決策としては良いでしょう。
ただ、どうしても避けられない場合も多いと思うし、生きている以上、自分が望まなくてもそういうストレッサーは付きまとってくるものです。
そういうものに対して「変えたい」「避けたい」と望むこと自体が、「それが叶わない」という更なるストレスを作る原因にもなります。
「ホルモン分泌」をコントロールするというのは、薬や機械を使ってでできる部分もあるみたいだし、ひょっとしたら今後テクノロジーによってコントロールできる部分が増えるのかもしれません。
ただ、今の時点ではまだ現実的ではないし、薬や機械によるコントロールには当然リスクも伴うので、ここでは考えません。
となると、最もリスクがなく、自分の意志や取り組みでコントロールしやすいのは「ストレス反応」の部分ですね。
ストレス反応のコントロールについては、「思考法」「マインドフルネス」「習慣」「生活環境や仕組み作り」など様々な方法があります。
これら具体的な取り組みに関しては、一つ一つ掘り下げたほうが良いので、ここではなんとなくイメージしてもらえる話で終わらせておきます。
イメージだけのほうが自分なりの取り組み方に応用しやすい人もいると思うので。
冒頭の風船の例え話に戻ります。
外から圧力(ストレス)をかけられた時、あなたが風船だったらどんな反応をしますか?
その圧力が程よい圧力だと感じたら、そのまま満足するまで味わっていても良し。
圧力を利用して跳ね返って元気に飛んでい苦のも良し。
押す力が強すぎたり不快だったらフワッと交わすのも良し。
長々と説明してしまいましたが、こんなイメージで、あなたが今直面しているストレスに対応しみてください。
同じ出来事に対して感じるストレスの度合いが変わったり、ストレスの本質が見えてくるかもしれません。
次回はもうちょっと踏み込んで「ストレス反応をコントロールできる基礎作り」についての話をしたいと思います。
